「あの……下田には誰がいくんですか?」

恐る恐る聞いてみると大野さんは当然のように答えた。

「俺と佐々木の二人」

それ、ちょっとやばくないですか?

「誰か他にも誘いましょうよ」
「飲みに行く訳じゃないんだぞ」

でも…
二人っきりの下田旅行って…

「何、焦ってんだよ」
「え?」
「何考えてんだよ。仕事しに行くんだぞ」
「もちろんですよ。焦ってないですって」

焦ってない感をアピールするために冷静にパソコンに向かった。

「大野さん。明日からって急すぎませんか?せめて来週とかだったら、戸田君も一緒に…」
「俺と二人がイヤなのかよ」
「いえ…そういう訳じゃ…」
「浜松の工場長からの紹介なんだよ。先方が明日からって言ってくださったんだから、明日からだ」
「…はい…」

そこを出されるともう反論しようがないけど、でも……

「作業着用意しとけよ」
「作業着ですか?」
「あぁ。保管方法から出荷作業。クレーム対応まで細かく教わる予定だ」

私の仕事モードのスイッチがONになった。

「分かりました。今日は早目に帰ります。作業着買いに行ってきます」

すばやく頭の中に出張準備品リストを作った。