この状況の変化にしばらく私たちは動けなかった。

「俺がもてあそぶって…」

大野さんがニヤリと笑って

「もっとましな方法なかったのかよ」

なんて言いながら嬉しそうに笑うから、私も可笑しくなってにんまりと笑った。

「しばらくは本社に行けませんね」

「まぁ、男はそれくらい言われてもなんてことねーけどな」

さすが伊藤チーフと南主任。
やることが派手だ。

ひとしきり笑った後、大野さんは腕組みをして一点を睨んでいる。

「佐々木。原田さんの抜けた穴はでかいぞ」
「はい」

私に話しかけているようだけど、本当は自分の考えをまとめているんだと分かった。

「やれるか?」
「はい。みんながいれば…」
「おまえの負担が一番増えるぞ」
「そんな時こそ燃えます」

目が合い頷いた。

「やるか」

大野さんが肩を鳴らしてパソコンに向き直った。

「まずは下田だな」

あれ?
下田の研修って3人じゃなかったっけ?