「そうです。3日間の予定で実際に作業もやらせてもらおうと思っています。どちらかと言うと、3日間だけの酒造メーカーの社員という感じで…」
「誰が行くんですか?」

大野さんの言葉を遮るように麻紀さんが聞く。

「この3人です。本当は戸田君も一緒に連れていきたいんですけど、鶴見の方が最優先なので…」
「3人の必要ありますか?ね?佐々木ちゃん」

麻紀さんにニッコリ微笑まれた。

これってアレだよね。
私に遠慮するように言ってるんだよね。

「そうですね。3人の必要もないかと…」
「いえ、せっかくなので3人で行きましょう」

大野さんがはっきりと言い切る。

「大野君。そしたらオフィスに誰もいなくなるでしょ?それは困るんじゃない?」
「それでしたらさっき課長にお願いしてきました」

涼しげな顔で言う大野さんと、珍しく大野さんの提案を褒めない麻紀さんの静かな戦い。

「佐々木ちゃんは仕事が溜まってるから、離れるの大変でしょう?」
「はい、そうですね…」
「ね、大野君。大人数だと先方にもご迷惑でしょうから、ここは二人で行きましょう」

下田旅行に二人で行きましょう…
私にはそんな風に聞こえる。

なんだか女って怖い。

「私、残りま…」
「いえ。3人で行きます」

頑として言い張る大野さん。
私は小さく首を横に振ってそれは無理だとアピールする。

3人で行っても絶対に辛いって。
少しはこの空気に気が付いてよ大野さん!

「はぁ~」

麻紀さんの盛大なため息が私の存在を思いっきり拒否してるんですけど!