メトロの中は、近過ぎです!

4課に戻っても落ち着かない。
3課のデスクと4課とを行ったり来たりしてしまう。
まだミーティングルームは使用中だ。

そんな長くはない時間だったんだろうけど、私にはすごく長い時間待った後、やっとミーティングルームの扉が開かれた。

中から戸田君が出てきて、大急ぎで4課に向かって行く。

ミーティングルームの中にはシンさんと大野さんしかいない。
書類に目を落としたまま何か話している。

何?
何の話をしているんですか?

大野さんが立ち上がり扉を開けて出てきた。
一瞬チラリと私に視線が来たような気がしたけど、すぐに4課の方に歩いて行く。

無視ですか。
中で何を話していたんですか?
気になるけど怖くて動くことができない自分が情けない。

入れ替わりに戸田君が荷物を持って戻ってきた。

あぁ、これから2人で出掛けるんだ。

そんな雰囲気だった。
シンさんもミーティングルームの中で荷物をまとめている。

シンさんがデザイナーを引き受けてくれたってこと?
じゃ、一緒に仕事するってこと?
嬉しいことなんだろうけど、喜ばなきゃいけない状況なんだろうけど……ドキドキが加速している。

シンさんと戸田君が話しているところに、すぐに大野さんが戻ってきた。
自分の鞄を持っている。

イヤな予感がする。
外出は3人で?
それだけはなんとか阻止しないといけない気がする。

シンさんと大野さんが一緒に外出するなんてあってはいけない。
本能がそう叫んでいる。

だって仕事以外の話をされたら……

されたら……?

されたら……どうだと言うんだろう。

誰に何を知られたら困るんだろう。

胸の音がうるさくて何も考えられない。