メトロの中は、近過ぎです!

「おまえ3課に戻りたいだろ?」
「……」

焼酎と梅酒が並んだテーブル。
大野さんの声がさっきよりも低い。

「だよな。4課は割れてるからな……」

こんな寂しげにつぶやく大野さんを初めて見た。

「そんなことないですよ」

私の声も小さい。

でも確かに4課は二つに割れている。
それは仕事上には表れていないけど、ふとした時の雑談や、お昼休憩や帰り際なんかによく感じていた。

「俺の力不足なんだよ」
「そんなことないですよ」

大野さんは更に力なく言う。

「松尾課長はすごいよな。あんな個性的な3課をよくまとめてるよな」
「課長ですか?」
「松尾さんだからみんなついていくんだろ?」
「ついていってますか?課長に?」
「はぁ?まとめてんのは松尾さんだろ?」
「課長は何もしてないですよ」
「いや、普段はそうだろうけど、ミスしたらかばってくれるとか、ここぞという時に……」

大野さんは何に焦っているのだろう