「はぁ。なんかうまくいかねーなー」

大野さんが頬杖をついている。

「お疲れですね」
「いや、体は疲れるようなことしてないんだけどな」
「ちゃんと食べてますか?」
「おまえはどうなんだよ。つーか一人暮らしってどうやって食べんだよ」
「自炊してますよ」
「仕事しながら?」
「はい。じゃあ大野さんはどうやってるんですか?」
「わかんねー」

頬杖ついたまま片手だけで器用にパソコンを打っている。

「大野さん。もしかして実家から出たことないんですか?」
「あぁ」
「お母さんのご飯が恋しいとか…」

ちらりと目が合う。

「うるせーよ。さっさと帰れ」

大野さんがホームシックなんて……ウケる。

「何、見てんだよ」
「いいえ……」
「笑うな。ムカツク」

そう言う大野さんだって笑ってる。