新オフィスの候補地は戸田君が見つけてきた。

正直、悔しかった。

やっぱり私が見つけ出したかった。
戸田君が見つけてきたところを見に行くときも、私一人留守番だった。

松尾課長と本社の人もいるから一人車に乗れないと言われ、当然のように私が外される。

入力作業も終わらないから、しょうがないんだけど……

戻ってきたみんなは興奮していた。

かなり良い物件だったらしい。


それからは新オフィスの契約に関する仕事は、戸田君一人が任された。
私は4課の部屋に籠っての入力作業だけになった。


はぁ~、3課に戻りたいな……

最近ではいつもそんなことを考えている。

外回りの営業がやりたい

この元会議室の閉ざされた空間に、息が詰まりそう……




その日もいつものように一人オフィスで作業していた。

あとはこの壁紙シリーズの入力が終ったら、私も帰ろう

そう思ってた時に、大野さんが戻ってきた。

「ただいま…あれ?一人?」
「はい。みなさんもう帰りました」
「原田さんも?」


やっぱり麻紀さんが気になるんですね……

「はい。本社の人の送別会に呼ばれたらしいです」
「あー。なんか言ってたな」

知ってたんですね。

なんだか、疲れた。