「戸田。考えてもみろ。大野はいずれは大野建設に戻っていくやつだ、そうなったら4課は誰がみる?
例え、もう一人いたとしてもおまえはすぐに課長補佐だ。
最年少課長補佐だぞ。その方がどれだけ堀も喜ぶか」

途端に戸田君の眼が輝きだす。

「そうですよね?俺、最年少課長目指して頑張ります!」

単純だな
だけど戸田君を見ていると元気になれそう。

「戸田。いきなり課長はないだろう」
「そうですね。まずは最年少主任の記録更新からですね…あ、真帆さん、すみません」
「なんで私に謝るのよ」


過去はずっとついてまわる。


「わかったな。じゃとりあえずここの片づけから頼むぞ。
来週には本社からの人間もここに入るからな!」

課長はそう言い残して立ち去っていった。

「真帆さん大丈夫ですか?」
「うん。ありがとう」
「俺、応援します。全力で大野さんと真帆さんを応援していきますよ」
「人のことより、最年少主任の記録更新するんでしょ?」
「いいんですか?大阪の高橋主任の記録ですよね?」
「うん。抜いちゃって」

戸田君はガタリと立ち上がった。

「わかりました。俺、真帆さんのためにも本気で取りにいきます」

戸田君の目からはいつものおちゃらけ感が消えて、男の人の鋭さが光っていた。