上の子が卒業して、翌年下の子が入学と言う夏に引っ越したわけだけど、今上の子が住んでるのは、私と上の子と、下の子と、小説等には匿名でないと書けないような、ありとあらゆる壮絶な14年間が詰まってる。

壁にも畳にも柱にもしみこんでる。

まさに私のすべてが、生きた証がそこにあるのに、お墓と同じ位詰まってるのに、私の残影さえさまよってそうなのに、とうとう今度の彼女を連れこんだと言うか、聖なる私達家族の領域に、他人しかも女を上げて、あんなことやこんなことやと考えたらすごく嫌だ。

リフォームしてからにして欲しかった。

私の涙や子供達の涙や思い出が一杯つまってるのに、嫌だ。

畳には私が手首の深さ半分まで何十回も手加減なしにカミソリを降り下ろして切った時の畳半分に染み込んだ血の後もある、私のその痛恨の血の理由は家族の裏切りだった。

私のその思いの上で女を抱いて、知らない女が愛する我が子と寝ていると思うと気が変になりそうだ。

母子家庭は母と息子が二人で一人みたいなもの、背中がくっついた一緒の命のようなものだから、女と言うのは最高に嫌な存在だ。

自分の息子の彼女でなければ、何とも思わないだろうが、彼女であると言うだけで、生理的嫌悪にかられる。

相手が誰でも同じ。