12月31日。


しんしんと嫌いな雪が降る、忙しない年末。



あたしがアメリカに帰る日。





日本での最後の朝食を完食したあたしは、準備を整えて、

荷物を詰め込んだ大きめのスーツケースと、お父さんとお母さんへの日本のお土産などが入ったリュックを担いで、玄関で靴を履く。



振り返った先には、おばあちゃんが淋しそうに目尻にしわを寄せていた。



「今日までありがとう、おばあちゃん」



ギュッと抱きしめて、ほっぺに別れの挨拶のキスをする。



おばあちゃんが毎日作ってくれた料理はどれも美味しくて、おばあちゃんとまったりお喋りした時間はゆとりある至福のひと時だった。


半年にも満たない期間だったけど、おばあちゃんと一緒に暮らせて楽しかったよ。



お世話になりました。



「また遊びにおいで」


「うん!」



おばあちゃんと笑顔で別れ、玄関の扉を開けた。


居心地がよくて離れがたい、おばあちゃんの古風な家を出る。



家の前では、ヘルメットをかぶったお兄ちゃんがバイクにまたがって、あたしを待っていた。