番犬男子





金髪の男子が、ポカーンと唖然としている。



あれ?

聞こえなかった?


それとも、聞こえたけど理解できなかった?



だったら、もっとわかりやすく簡潔に言ってあげる。



あたしの名前が知りたければ、自分から名乗って。


それが礼儀というものだよ。





「……フッ」



不意に、茶髪の男子が噴き出した。


沈黙を断ち切った茶髪の男子に、あたしと金髪の男子の視線が集まる。



茶髪の男子はハッとして、狼狽えた。



「わ、笑っちゃってすみません!」




弱々しく肩をすくめる姿が、まるで可愛らしい子犬のように見えた。