番犬男子






「誰がそいつらを片付けに行くんだ?」



遊馬が、薄い黒の瞳を輝かせながら、前のめりになってお兄ちゃんに尋ねた。



あれ、俺が行きたいって立候補してるようなもんじゃん。


わかりやすいな、遊馬は。



「今回は遊馬じゃねぇ」


「えー!?」



ブーイングが起こる。


お兄ちゃんは遊馬を無視して、視線を後ろに移した。




「幸汰」


「はい」




幹部室の角で、アールグレイを淹れている幸汰が、作業を一時中断して、こちらに体を向けた。



「頼むぞ」


「はい!」



さっきよりいい返事が返ってくる。