夏休み直前の昼間。
どうしてもこの暑さと、目の前の冷たい水の誘惑に勝てずに、顔を見合わせる。
結局プールサイドに座って、足先だけ水につけると、ひんやりして気持ちいい。
人がひとり入れるか入れないかくらいの、微妙な距離感。
もう少しだけ近づきたいけど、その一歩が踏み出せない。
手を伸ばせば届くくらいの距離で、並んで喋る。
「志望校の判定、良くなかったんだよね…」
足を小さくパシャパシャさせながら呟くと、同じく足に水を絡ませながら聞いてくれる秋樹。
「まあ、これからだろ」
「半年後にはセンター試験の問題も解けるようになってるのかなぁ」
「…芹奈はやるときはやるし、大丈夫だと思うけど」
「…なんか秋樹に言われると、大丈夫な気がしてくるね」
「それはよかった」



