そして昼休み。
中谷を人気のない廊下に呼び出して、向かい合う。
気持ちを伝えることが、どれだけ大変なことか知ってる。
人を想うことが、人に想われることが、どれだけ大切なことか知ってる。
だからこそ、私も緊張した。
「…ごめん、好きな人がいるの」
まっすぐ中谷の瞳を見れば、寂しそうに笑った。
「…うん、分かってた」
「でも、好きになってくれてありがとう。
本当に嬉しい」
「うん、聞いてくれてありがとう」
私がうつむいたら、
「そんな顔すんなって。
有沢は笑ってないと有沢じゃねえよ」
なんてからかってくるから。
「私そんないつもヘラヘラしてない…」
いつも通りにしてくれるのが、優しい。
私もいつも通りにしようと頑張ったけれど、出来てたのかわからない。



