先生が黒板に向かったのを見計らって、私を振り返る君の背中。
「ばか」なんて小声で言って、くくっと笑ってくる。
だって、と口を尖らせてみせるけど、不意打ちの笑顔に心臓は自分でもわかるくらい大きく高鳴る。
眉を下げて、目を細めて。
少し口角を上げて笑うその顔を、ずっと見ていたい。
君の特別になったら、それが叶うんだろうか。
「秋樹だって寝てたでしょ」
少し身を乗り出して、小声で君の耳元で文句を言えば。
「芹奈と違ってバレないように寝てるから」
なんて、嫌味な答えが返ってくる。
言い返そうとしたけれど、先生が黒板を書き終わってこちらを振り向いたので、文句は飲み込む。
こんな毎日が、続けばいいのに。
意地悪だけど本当は優しい君と、ずっとこうして笑いあえたらいいのに。
あと7日で終わってしまうだなんて、信じられないし考えたくない。



