「…秋樹」
「…なに、芹奈」
「…なんでもない」
君だけが呼ぶ、私の名前。
私だけが呼ぶ、君の名前。
右耳から聞こえる芹奈って響きが、私の身体中をしあわせな温度で染めてくれる。
この時間を、一生忘れないように。
私が彼氏なんかすぐできちゃうようなイイ女になっても、時間が経ってヨボヨボのおばあちゃんになっても、ずっと心の奥で生き続けるように。
皆川 秋樹という人が、私の心の中にこんなにも深く存在したことを、忘れないように。
この空気さえも覚えておきたくて、深く息を吸った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…