「ずっと後悔してることがあるの」
「うん」
今度はコウが、黙って聞いてくれる。
いつもふざけてばっかりの、うるさい担当みたいな私たちがこんな真面目な話をするなんて思ってもいなかった。
それは私たちがあえて避けてきたことだから。
大切だから、大好きだから。
だからこそ大切なことだけ、いつも言えなかった。
楽しいこと、嬉しいことだけ話して、笑って入られたらそれでいいと思ってた。
だけどそれだけじゃあ、近づけない部分もあるよね。
「どうしても勇気が出なくて、一歩踏み出せなかったの。
本当は進みたかったのに、曖昧なままにしちゃったの。
だって私には手が届かないくらい、素敵な人だから」
この関係を壊したくないから。
ただ勇気が出なかったから。
もちろんそれだって理由の1つだけど、それだけじゃなくて。
きみは私には手の届かない存在に感じたから。



