高嶺は、柊香を見ていた。
柊香は、コウを見ていた。
コウも、柊香を見ていた。
秋樹は、私に進路を言わなかった。
私は、秋樹への溢れそうな気持ちを誰にも言わなかった。
そうだね、わかってる。
わかってたからこそ、苦しくなった。
触れないように、壊さないように。
だって5人でいる時間が、あまりにも大切だったから。
「大事だからこそ、壊したくないことはあるよね」
「うん…」
「でもそれに触れたら、もっと近付けるかもしれないよ」
そうだね、それは分かってるよ。
それでも、それでも、私は見た目によらずに臆病だし弱虫なんだよ。



