「行かないで……」




「え…?」




「ずっと、ここにいてよ…っ」





一度流れることを許された涙は、何度瞬きしたって止まってくれない。


心底驚いたように目を見張る秋樹の姿が、涙で揺れた。





「芹奈…」



「東京、行くの…?」





「っ……知ってたの?」







その言葉に、目の前が真っ暗になった気がした。


心のどこかで、本当は少し、期待してた。


私の勘違いなんじゃないかって、秋樹は東京なんて行かないんじゃないかって。


…そんな都合のいい話、あるわけないよね。