「…っ、秋樹」
ぽろ、と瞳からこぼれ落ちた温かい雫は、頬を伝ってベッドのシーツを少し濡らした。
気付いたら、眠ってしまっていたらしい。
昨日はあんなに眠れなかったのに、秋樹が隣にいる今はなぜかすぐに夢の中で。
何だかすごく、幸せな夢を見ていた気がする。
誰かの体温が、私より少しだけ低い温度が。
私の頬を優しく撫でた。
夢だが現実だか分からないその感触が心地よくて、うっすらと目を開けたら、目の前にいた人と目が合った。
「…あ、起きた?」
優しい顔をして、さっき私がしたみたいに私の顔を覗き込む秋樹。
今、私の頬に触れた手は、現実なのか、私の都合のいい夢なのか。
それはきっと私には一生わからないことで。



