きっと、ずっと、恋だった。




もちろん、秋樹がどれだけ写真が好きか知ってる。


写真で芸術大学に入れることが、どれだけ凄いかも分かるつもりだ。


だけどそれを素直に喜べないなんて、私のこの気持ちは全然綺麗じゃないね。




卒業したら、秋樹は私の隣にいなくて。

4人で笑い合う中に、きっと秋樹の笑顔だけがなくて。

ふたりで、人ひとり分くらい空いたもどかしい距離感で歩くこともなくて。


私が勢いだけで突っ走った時に、フォローしてくれる秋樹はもういなくて。


この、ひと目見ただけで心の中があったかくてふわふわで、幸せになってしまうこの秋樹の柔らかい笑顔も、当たり前に見れる日々ではなくなってしまうんだ。




ねえ、秋樹。


私、知ってるよ。

秋樹が東京に行くの、知ってるよ。



秋樹の口から言ってくれたら、ちゃんとおめでとうって、頑張れって言えるように準備しておくね。


言ってくれるつもりがあるのか、よく分からないけれど。


言わずに行ってしまっても、それから私の前からふらっと姿を消してしまっても。



私の中の、宝箱の奥の奥の方に鍵をかけて、大切に、壊さないように閉じ込めたこの気持ちだけは、きっとしばらく消えないと思うなぁ。