「体調悪いくせに、なんで言わないの」 「ごめん…」 「…まあ、芹奈は言わないよな。 昨日の帰り道くらいから、ちょっと元気なかったでしょ」 「…そう、だっけ?」 気付いてたなんて、ずるい。 そんなこと言うの、ずるい。 私ばっかりこんなに溺れさせて、ずるい。 秋樹の背中に揺られながら。 細いのに以外と筋肉あるんだなぁ、なんて思った。 この秋樹が、こんなに私の世界ぜんぶ自分の色で染めてしまう秋樹が。 東京に行ってしまったら、私の世界、ぜんぶモノクロになっちゃうかもしれないよ。