「っ、芹奈!」
頭を抑えた瞬間、聞こえた声。
そして、ふらっとした私の身体を覆った影。
ドンッ、と音がして、私の目の前に飛び出てきた人が私に向かっていたらしいボールを奪った。
「…あ、き」
「大丈夫?」
助けてくれたんだ、って気付いたのと、足の力が抜けたのは同時だった。
ふらふらと座り込んだ私に、駆け寄ってきてくれるみんな。
「俺、保健室連れてくわ」
そう言って取ったボールを味方の男の子に渡して、座り込んだ私と目線を合わせる秋樹。
「立てる?」
「だ、大丈夫!」
ニッと笑って立ち上がろうとするけど、やっぱり力が入らない。



