秋樹が先にこの教室で着替えることになって、私は廊下で待っていた。



「…」




無言のまま、ガラリと開いたドアから出て来たのは執事姿の秋樹。



黒の燕尾服は、もちろん本物じゃないしネットで買った安物だけど、なんだかものすごく格好良く見えて。

ふわりとした黒髪がそれによく似合っていて。


そして何よりも、恥ずかしそうに頬を赤らめて顔を背ける秋樹が何より可愛かった。





「似合う!格好いいじゃん!」


「うるさい、芹奈も早く着ろよ」




照れているからか、いつもより乱暴な口調になっているのも、可愛い。

なんて、キュンキュンしながら空き教室に入り、今度は秋樹が廊下へ。


でもメイド服に着替え終わった瞬間、現実に引き戻された気がした。