もう外も暗くなってきたから、空き教室にクラスの準備の荷物を置かせてもらおうと、秋樹と一緒に衣装や装飾品の入った段ボールを持ってこの教室に来たとき。
「着てみてよ、メイド服」
突然秋樹がそんなことを言い出した。
「え、何言って…」
「見たい」
「私メイド服とか絶対似合わないし…」
「俺はそんなことないと思うけど?」
「ええ…」
確かに着てみたかったのは事実だけど、そうなんだけど。
秋樹に見られるのは恥ずかしいし、やっぱり似合わないなって思われたら悲しいし。
いや、でもここを逃したらもう着る機会なんてないかもしれない。
…なんて、悶々としてから。
「秋樹も執事の格好してくれるなら!」
って返事したら、秋樹はものすごく嫌そうな顔をして全力で拒否したけれど、私が頼み込んだら渋々了承してくれた。



