「どうしてコウなの?」



それはずっと疑問だった。

コウがそう思っていたように私も、柊香は高嶺と付き合うようになるんじゃないかと思っていたから。


大人っぽくて、しっかり者の2人はすごくお似合いで、話も合って。

だからこそ正反対の明るくて単純なコウと柊香の組み合わせは、あまり考えたことがなかったかもしれない。




「…コウってさ、単純でしょ」


「うん」


「私とあまりにも正反対だから、本当はコウのそういうところに救われてたんだ」




あまりにも愛おしそうな顔で、コウの話をするから。

柊香の気持ちが、苦しいくらい伝わって来たから。




「私が悩んでる時もね、コウが笑い飛ばしてくれると、悩んでることの小ささに気付けるんだ。

何とかなるんじゃないかなって、自信が湧いてくるんだ。


…コウはいつも、無意識のうちに、一歩踏み出す勇気をくれるの」




「そっか…」



「それは芹奈も同じだけどね。
芹奈も見てると元気をもらえるよ」



「…なんかちょっと複雑だけど嬉しいよ」