「っ……コウにだけは、言われたくなかったなぁ」
柊香の真っ白な頬を、一筋の涙が伝った。
春の暖かいけれど少し冷たい風が、私たちの髪を揺らす。
「泣いて逃げて来ちゃったし、
結局関係も壊しちゃうかもしれない…」
「そんなこと…」
「友達でもいいから、恋人じゃなくてもいいから、それでもずっとそばに居たかったんだぁ…」
その気持ちは、私にだって痛いほどわかった。
気持ちを伝えて、恋人になれたらいいけれど。
もしなれなかったら、そのまま友達ですらいられなくなるかもしれない。
友達じゃなくなって、卒業までしてしまったら、会えることなんてそうそうない。
そんなことになるくらいだったら、気持ちは胸の奥に閉じ込めて。
友達のままで、卒業してからも5人で笑って、だってそのほうがずっと幸せだから。
……だけど時々、どうしようもなく、抑えておけないことがある。
溢れてしまうことがある。



