卒業まであと30日。

黒板の隣に貼られたそのプレートは、1日1日、日が経つごとに数字を減らしてきた。



30だった時は、まだ実感がなくて。

20になったときに、急に寂しくなって。

一桁になったときから、悲しくて考えたくなくなった。



駅とは反対方向のこの学校に向かう上り坂は、卒業したらなかなか通らなくなるだろう。


1分でも遅刻すると閉められそうになる門に駆け込むことも、滅多になくなるんだろう。


階段を二階上がって左の隅っこ。

この教室に入ってみんなにおはようって言うことも。


窓際後ろから2番目のこの席から、1つ前の君の背中を見つめることも、きっと。