考え込んでたら長湯してしまった……と急いで上がった私は、後の人を待たせると悪いと思ってそのまま風呂場を出た。



髪の毛はまた後で乾かそう。



長いこの髪は、乾かすのに時間がかかってしまうから。



ドアを開けてリビングへ出ると、ソファーに腰をかける葵くんがいた。



ついさっきまで考え事をしていた中の張本人に早々出会ってしまって、声をかけるか迷ったけれど、そのまま行くのもどうかと声をかけた。



「お風呂空いたよー」



「うん、ありがと」



私の声にすぐ気がついた様子の葵くんからは、すぐに返事が帰ってきた。



「絃ちゃん、こっちにおいでよ。僕が髪の毛乾かしてあげる!」



……えっ?



まさか突然そんなことを言われるなんて思ってもいなくて、戸惑ってしまう。



「そんな、悪いよ……」



「もう、いいから。こっち来て座って?」



どうやってこの場を乗り越えようかと、回らない頭を一生懸命動かしていると、離れたところにいたはずの葵くんが目の前に来ていて、手を引かれてソファーの前まで連れてこられた。



そこに座るよう促されて、私がそこに座ったことを確認した葵くんはドライヤーを取りに行ってしまった。