「……覚えておいて、絃ちゃん。蓮兄とか雅兄は何も言わないかもしれないけど、男の前でそんな格好はしない方がいいよ?」



少しだけ乱れた服を直してあげてから、そっと離れる。



「じゃあ僕、お風呂行ってくるね」



絃ちゃんからは、返事はない。



……ちょっと、やりすぎたかな?



でも、わかって欲しかった。



僕だって、弟じゃなくて一人の男だってこと。



いつまでも弟だなんて思って欲しくない。



それに、頑張ってる絃ちゃんだけど、そんな色っぽい格好なんてしていたら……どんな奴に目をつけられるかわからないから。



「あ、おかえり、雅兄」



「ん、ただいま」



1度部屋に戻ろうと廊下へ出ると、ちょうど雅兄がバイトから帰ってきたところだった。



「蓮兄が焼きそば作ってくれたから、温めて食べてね」



「あぁ」



雅兄とわかれて、自室に入る。



絃ちゃん、僕が絃ちゃんのこと好きになっちゃったの……



あれは本当だよ。



だから、僕。



絃ちゃんのこと、本気で落としに行くからね。