……つ、次こそは!



クールな雅さんを落とす!



まだこっちを見てくれてないけれど、諦めずにじっと上目遣いで見つめる。



そして、ついでにあひる口もしてみた。



これで、どうだ!



もうダメかと、諦めかけた頃。



盛りつけが終わったようで、皿を片手に私の方へと雅さんの視線が向いた。



よし、チャンス。



雅さんの目の前には立って、見つめるけれど……



「……え」



私の事を一瞬見ただけで、横を通り抜けて行った。



「冷めないうちに食べてね」



その一言だけ残して、雅さんは自室へと行ってしまった。



「そ、それだけ?」



思わずそんな間抜け声が出てしまう。



「そんなニワトリみたいな口してるからだ、バーカ」



「なっ」



おまけにソファーに座っていた蓮くんに、そう釘を刺されて撃沈した私。



「絃ちゃん、可愛かったのにな」



ありがとう、葵くん。



そう言ってくれるのは葵くんだけだよ。



3兄弟を落とそう計画、第1弾。



ぶりっ子大作戦は、初日にして敗れてしまった。