「お腹空いた。飯食べる」



「はぁ?」



次はご飯?



私を放置したままドアの方へと歩いていく。



なんて身勝手なの?



本当に自己中!俺様バカ!



「ねぇ、いつまで俺の部屋に居座る気?バカが移るからさっさと出て」



ん、もー!



本当にどこまでもムカつくんだから。



蓮くんはそのまま私を置いてリビングへと行ってしまった。



でも……これで良かったのかな?



私に嫌味ばかり言う蓮くんは、いつも通りの蓮くんだ。



「ふふっ」



どうせならそのイカれた性格も直してあげたかったところだけど……



まぁ、いっか。



今回だけは許してあげる。



「私もご飯食べる!」



久しぶりの雅さんの夕飯だ。



あの美味しいご飯を食べられるのかと思うとワクワクする。



少しステップを踏みながら、私も蓮くんの後を追うようにリビングへと行った。



この時の私は、蓮くんが部屋をあとにする前に



『覚悟しとけよ、絃』



なんて言っていたことは、まだ知らない。