神様、私を消さないで

「なんで?」


思わず声にしながら、戸の向こうに立っている意外な人を見た。


それは、鈴木広代だった。


まだ帰っていなかったのか、制服姿でぼんやりと立っている。


「あの……鈴木さん?」


初めて広代に声をかけるけれど、聞いているのかいないのかじっと私の足元を見ているだけ。

開けっぱなしの戸からはまだ小さくヘリコプターの音が聞こえている。

どうしたんだろう……。

急に不安がこみあげてくる。

やがて広代がすっと私の目を見た。

色白の肌のせいか目が大きく飛び出てくるように思えて怖くなった。

沈黙のなか、やがてヘリコプターのエンジン音も消えた。

広代の唇が小さく動く。


「……げて」


聞き取れないほどに小さな声。