神様、私を消さないで

一瞬だけど、「逃げようか」という考えが浮かんでしまい、ぶんぶんと首を横に振った。

なに考えてるんだか、どうやってひとりでこんな山奥から逃げるのよ。


「早くお母さん迎えに来ないかな」


ぼんやりつぶやいて暮れてゆく空を眺めているとき、ふと誰かの視線を感じた。

一瞬だったけれど、ゾクッとするような感覚がたしかにあった。

おそるおそる窓の外を確認するけれど、暮れゆく道には誰の姿もなかった。

隣のおばさんがのぞいていたのかも……。

そんなことを考えながらカーテンを閉めると、なんだかほっとした気分になった。

暗い部屋が落ち着くのは、ここに来るまでずっとそうして過ごしていたからかも。

電気もつけずに、光るテレビの前にまた座る。


ふと、大和の顔が浮かんだ。


少しずつだけれど会話が増えていて、それがなんだかうれしい。

男子がひとりしかいないのもあるけれど、客観的に見ても大和はイケメンの部類に入るだろうから。