神様、私を消さないで

「あら、結愛ちゃん。お帰りなさい」


隣のおばさんが家の前で掃き掃除をしていた。


「ただいま」


なんとか笑顔を作ったのは、お父さんがお世話になっているから。

最近知ったばかりだけれど、お父さんの雇い主である社長が隣の家のおじさんだったのだ。

この家も社長の持ち物らしいから、丁寧に対応しないといけない。


「なんだか最近、春にしては暑いくらいよね」


「そうですね」


「このまま夏になっちゃうのかしら」


おどけて言うおばさんに作り笑顔で答えるけれど、やっぱり早く家に入りたかった。

社長夫妻はとてもいい人たちだけれど、なんとなく苦手。

お父さんの仕事関係の人だと知ってから、特にそうだ。

なのに、おばさんはいつも玄関のあたりで掃除をしているから、こうして愛想笑いをするしかないわけで。