神様、私を消さないで

夕暮れの村にサイレンが響いている。

校門を出たところで振り向くと、空に小さなヘリコプターが見えた。

朱色の空と緑の山を背景に、大きな音と一緒にどんどん近づいてくる。


「ご飯を作らなくちゃ」

と、言い訳して、ひとり急ぐ帰り道。

さっき本堂のなかで見せたふたりの表情が胸に引っかかっていた。

能面のような顔に見えたのは見間違いだ、と自分の心に言いきかせてもずっと気になっている。

なんだか不安な気持ちになってしまい、あれからぎこちなくなってしまった私。

気づかれていないと思うけれど、早く家に帰りたかった。

みんなが『スーパー』と呼んでいる小さな商店で買い物を済ませると、急いで家に向かう。


山に囲まれているこの村では、夕日は早く見えなくなってしまう。


朝も同様に暗い時間が長く続くので、日照時間は短いのかもしれない。