神様、私を消さないで

「9月の最後の土曜日にお祭りをします。たいまつをたいて、野菜や小麦を捧げる、というものです」


これが『火と野、粉』の部分ってことか。


「右回りって?」


臆することなく尋ねる大和に、お父さんはうなずいた。


「毎年村の秋祭りでは、その年に入村した子供たちに“しるし”を与えます」


「しるし?」


続けて尋ねる大和。


「そうです。村の子供である、という証みたいなものですね。それで晴れて村の一員として認められる、という古くからの習わしです」

お父さんが言う言葉に、雅美はうんうん、とうなずいている。


「そのためには、いくつかの課題が神様から与えられます」


お父さんがそう言うと、大和は顔をしかめた。


「それってミッションみたいなやつ?」


お父さんは軽く笑い声をあげてから、「そうですね」と肯定した。


「まぁ、簡単なものですよ。この本堂を右回りに掃除する、とか学校でおこなう課題もあります」