神様、私を消さないで

「“しるし”の話をしてあげて」


はしゃぐような声で言う雅美に、お父さんは目を細めて私たちを見やる。

その目に吸いこまれそうな錯覚がして意識的に瞬きをした。

神様の使い、みたいに感じてしまったのかもしれない。


「この村には言い伝えがあります」


話しだす声に、意識が集中する。

おだやかな話し方や低い声色、さすが神主さんという感じ。


「『秋深き夕刻 永神様に右回り 火と野、粉を捧げし さすれば安楽の地となり』というもので、昔から大事にされている言葉です」


さっき看板に書いてあった文字だとすぐにわかる。

私たちみたいな子供にも丁寧に話してくれるお父さんに好感が持てた。


うちのいい加減な父親とは大違い。