神様、私を消さないで

「お父さん!」


うれしそうに声を出した雅美に目くばせをする男性は、彼女のお父さんなのだろう。


「初めまして。宮司の大田弘です」

と、丁寧に頭を下げた。

宮司?よくわからないけれど神主さんのことなのかな、と同じように頭をさげた。


「こっちが結愛で、それが大和」


雅美の説明に『それ』呼ばわりされた大和が顔をしかめている。


「失礼しますね」


雅美の横に座ったお父さんは、まだ若く見えた。

が、やはりこの神社を仕切っているとだけあって背筋もピンと伸びて威厳が備わっている。


「さっき吊り橋の看板を見てきたの」


「ああ、そうかそうか」


娘には甘いらしく、うれしそうに言うお父さん。

どこの家庭も一緒なんだな、とほっこりする。