神様、私を消さないで

神社のなかは思ったよりも広かった。


「家はあそこ」


同じ緑色の屋根の建物を雅美が指さす。


「本堂はこっちね」

と、先に歩いて案内してくれる。

平日の昼間だというのに、たくさんの村人が参拝に訪れている。

それだけこの村の人たちは信心深いのだろう。


「あら、雅美ちゃん」


「いつもお世話様」


小さい村では皆が顔見知りらしく、そのたびに立ち止まっては私と大和は自己紹介する羽目になった。


「ぜんぜん進まねぇ」


ボソッと口にした大和に、声を殺して笑う。

隣を見ると、まんざらでもない顔をしているので少し距離が縮まったような気がした。


よかった……。


って、なに意識してんのよ。