神様、私を消さないで

「どういう意味なの?」


私の質問に、亜弥子はにっこり笑った。


「この村には秋祭りがあってね。それに必要な言葉なのよ」


「秋祭り……」


そう言われても歯抜けの文字は文章になっていないから想像もつかない。


「永神様に火や穀物とかを捧げるっていうお祭りでね、この村のメインイベントなのでーす」



わからないまま看板を眺めていると、雅美が説明してくれた。

お祭りがメインイベントなんて、田舎らしいなぁ。

心のなかでディスる私に、雅美は続けた。


「今年の秋祭りはね、結愛と大和が主役なんだよ」

と言ったので驚いた。


なんで私たちなの?


口を開こうとすると、「なんで俺たちなんだよ」と、大和が先に言った。

大和が自分から発言するのは珍しいからだけでなく、まさしく私が今言おうとしていた言葉だったからドキッとしてしまった。