神様、私を消さないで

途中で、『用事ができた』と学校に戻った校長先生に代わって引率するのは亜弥子。

私と亜弥子、そして雅美が並んで歩く。

後ろからは大和、そしてずいぶん遅れて広代。

大和とは短い言葉なら交わす機会もあったけれど、広代とは転校以来一度も話をしていないままだった。

というか、広代はそもそもクラスで誰とも話をしていない様子だった。

まるでクラスメイトが見えないかのように、いつだってひとりだったし無口だった。

振り返ると、小さな校舎が山をバックにして建っている。


「この学校はね、昔、神社の一部だったの」


亜弥子の言葉に、「え?」と、聞き返す。


「旅館でいえば『別館』みたいな感じ。式典とかをする場所だったみたい。当時から学校も兼ねてたらしいけどね」


「だから、学校っぽくない建物なんだね」


言われてみれば、木造で狭い教室、リレーもできないくらい小さな校庭も納得できる。