神様、私を消さないで

――それからの学校は、まままあ楽しかった。

全部亜弥子と雅美のおかげだ。

ふたりはいつでも私を気にかけて、休み時間のたびに話をしに来てくれた。

亜弥子はクラス委員だし父親が村長をしているだけあって、どちらかというと優等生タイプ。

雅美はお気楽で明るいムードメーカー。

ふたりといると楽しかったし、夜逃げ同然でここに来たことを知っても優しいままだったから安心もした。

お母さんと一緒に暮らしたい気持ちは変わらなくても、

楽しい毎日に「まだしばらくはここにいてもいいか」と思ってしまうことも増えていた。


ある日の授業は社会見学。


といっても村の歴史を学ぶためのものらしい。


「転校生もいることだし、村をぐるりと周ってみましょう」


校長先生の提案に、桜の散った村を私たちは歩いた。