神様、私を消さないで

窓から見える空は東京となんら変わりないのに、目線を下げると見える景色は山ばかり。

さらに吊り橋を渡ったところにあるこの永神村は、車も走っていないし、道だってなんとか舗装している程度。


本当にここで暮らしていけるのかな……。


早くも脱出計画が頭で浮かんできてしまう私だった。

いつの間にか寝てしまっていたのだろう。

突然の耳をつんざくような音に、文字どおり飛び起きた。


――ウーウー。


サイレンのような音が鳴っている。


「火事!?」


起き上がってとっさに窓のほうに近づき、外を見まわしてみる。

キョロキョロと落ち着きなく目を動かしていたけれど、そのうち音は聞こえなくなった。


「今のなに?」


居間に行くが、お父さんの姿はない。

飲み散らかしたビールの缶がテーブルに散乱していたけれど、そんなこと、今はどうでもいい。