神様、私を消さないで

テーブルの上には空になったビールの缶がいくつかあった。


「もう飲んでいるの? 仕事は?」


「終わったよ」


陽気な赤ら顔に心底情けなくなった。

これみよがしに目の前で正座をすると、にらんでみせる。


「なんだよ」


「あのさ、なんでここに来たのかわかってんの? ちゃんと仕事しないと追い出されちゃうでしょ」


「本当に終わったんだってば」


「まだお昼前だよ? こんな早いわけないでしょ」


私の非難にお父さんは唇をとがらせた。


「俺も思ったよ。聞いてみたら、朝早いだけでそのあとは昼寝でもしてればいいんだってさ」


お父さんに与えられたのは茶畑の手伝い。

それに農作業の手伝いとのこと。

山の斜面にあるそれらの手伝いに、この数日朝早く行っているのはたしかだけれど……。

でも、こんな時間に終わっちゃう仕事なんてあるの?