神様、私を消さないで

「2年生と言えば亜弥子ちゃんたちね。いい子よ、あの子は」


「ええ」


うなずきながら、ふと気づいた。



……私が中学2年生って、なんで知っているの?


ひょっとしてお父さんが言ったのかな。


「それじゃあ、またね」


家に戻っていくおばさんにお礼を言うこともできないまま、家の戸を開けた。

こういう付き合いにも慣れていかなくちゃいけないのかも……。

きっと田舎に住むってこういうことなんだろうな。

でも、大人ってなんだか苦手だし、できれば挨拶くらいで勘弁してほしい。

この間までは外に普通に出かけられることが唯一の願いだったのに。

人ってぜいたくなものなんだな、って学んだ気分。


「おう、お帰り」


ランニングシャツ姿でビールを飲んでいるお父さんは、まだ数日だというのにすっかりここの生活になじんでいるみたい。


東京にいるときよりも生気の宿った表情をしている。