神様、私を消さないで

私たち親子に与えられた家は、小さな平屋だった。

けっして新しくはなく、どちらかというと周りの家よりもずいぶん古い家に思える。

村から出て行った家族のものらしいけれど、小さいながらも使い勝手のいい間取りだ。

なにより、カーテンを開けて生活できるのがうれしかった。

神社の並び沿いに建っているから、学校からでも迷うことはなく家に着いた。


「あら、お帰りなさい」


カバンに入れたカギを探していると、隣の家のおばさんがにこやかに挨拶してくれた。


「……ただいま戻りました」


慣れない言葉で返して、早く家に入ってしまいたい気持ちをなんとか押しとどめた。

誰とでも打ちとける自信はあるけれど、大人とコミュニケーションをとるのは慣れない。