神様、私を消さないで

私のため息に気づいたのか、お父さんは灰皿でタバコをもみ消すと、「心配すんな」と、笑った。

「心配するよ」

すぐにツッコミを入れてから、なぜか私も笑ってしまう。

この生活にマヒしてきているのか、少しのことでは動じなくなっているのも事実。

それにこんなだめなお父さんでも、なぜか心から憎めないのが私の弱点だとも思う。

いつだって最後は許してしまうし、「なんとかなる」って思ってしまうから。

「結愛はしっかり者だからなぁ。自慢の娘だ」

「褒めてもムダだからね」

「バレたか」

そう言って新聞の記事に目を落としていたお父さんが、「おっ」と、声をあげた。

「結愛、これ見てみろ」

また闇金でお金を借りるつもりなのか、とうんざりしていると、バサッとシワだらけの新聞を渡された。

「いいから。ほら」