お酒の魔力で、身体から始まってしまった私たちの関係。

切っても切れない繋がりができてしまったばかりに、私は半ば諦めでこの結婚を呑まざるを得なくなった。

感情なんてなにもない。
そうなってしまったから、という理由だけ。

では、ファリス様はどうなのだろう?

私を好きだと言ってはいるが、それは身体の関係があったから、好きになってしまったと思い込んでいるだけではないか?

本当の本当に、私のことを好きでいてくれているの?

今まで聞けなかったこと。
ここで聞けなければ、きっといつまでも口に出すことができないだろう。

そう思い、意を決してファリス様に問う。

「ファリス様、私がこんなことを聞くのは差し出がましいかもしれません。己惚れるなと嘲笑ってもいい。でも、聞きたいのです。ファリス様は、本当に私のことを好きなのですか?なんの魅力もない、貴族の端くれの娘、そんな女でも好きだと?あの一夜のことがあったから、好きだと思い込んでいるだけではないのですか?」


私の問いに、ファリス様は顔を素早く上げて私を見た。

眉間には皺が寄り、怒っているように見える。