王太子様の策略に、まんまと嵌められまして~一夜の過ち、一生の縁~

ショックもなにも、今の私は何事もなく過ぎ去ってくれたらいいと思っているくらいだ。

それが遊びだったと言われても、私がお酒で記憶を無くしてしまったのがそもそも原因なのだから。

その情事に至るまで、どういった流れを辿ったのかすらわからない。

王太子様にしつこく言い寄ってしまったのではないかと、これほどまでにない無礼な行動をしてしまったのではないかと、考えれば考えるほど胃が痛くなる。


遊びであればいい。

忘れていて欲しい。
相手が誰だったかなんて気にしないで欲しい。

そう願うばかりだった。


「まずは月のもの……。ああ、早く来て欲しい。いつもはただ煩わしいだけのものなのに、今回ばかりは期待せずにはいられない」

「あまり気に病みますと遅れてしまうことがあります。とにかく平常心を心掛け、あまり気にしないことです」

「ええ、分かった。ごめんなさいアマンダ。こんな迷惑ばかりかけてしまって」

「これに及んで次は気をつけることです。そして王太子様との一件は夢であったと、これからは静かに暮らしましょう」

「そうね。これからは慎ましく生きていくわ」




その宣言通り、この日からパタリと社交場へと足を運ぶのをやめた。

毎回キッチリと参加していた私が行かなくなったことで、父や母は驚いていたが、適当な理由をつけて納得させた。

豪華な料理をもう食べられないのかと思うと少し残念な気もするが、これは私に与えられた罰なのだと思うことにして、毎日屋敷で静かに過ごす。

なにもしていないとふと思い出し不安になってしまうため、休みなく掃除や縫物をしてひたすら気を紛らわせた。


常に思うのは、月のものが来ますように。

とにかく大事(おおごと)にはなりたくない。